気持ちが出てこない
- 6月13日
- 読了時間: 2分
更新日:8月16日
【 12歳の記憶 】
わたしは
ソウダンシツへ
呼ばれた
世間で言う
"問題行動"
を起こすと
担任に
相談室へこい
こう言われる

部屋には
ちいさなテーブルと
ソファがふたつ
たったそれだけの部屋
応接室のような
小さな部屋
黒いソファに
腰掛けて
真剣な顔した
男性教師が
わたしをみて言う
「なんであんなことしたんだ」
5畳にも
満たない部屋で
ふたまわり以上
年の離れた
男性教師に
まっすぐ
正面から
問いかけられ
わたしは
なんとも
申し訳ないような
気恥ずかしいような
それでいて
やってしまった
罪悪感のような
責められているようで
どうにもバツがわるい
そんな感覚で
自分のひざを
見つめていた

12歳の
わたしは
黒髪で
ひざ下の
スカート丈
白くて
短い靴下
いじめもせず
授業も受け
だけど
不良だった
酒とタバコを
それから自傷行為を
こっそり1人で
不良品だと
自分を認識して
いたのかもしれない
ただただ体を
傷つけたかった
それだけかもしれない
それがばれてしまった
「・・・なにをおもってるの?」
沈黙に
たえかねて
担任は
聞き方を
変える
けれど
わたしから
気持ちは出ない
とても
申し訳なかった
思春期の
わたしのひざは
濃くなりかけた
産毛で覆われていて
それがとても
気恥ずかしくて
両手でそっと
ひざを覆い隠した
ただただ
早く帰りたい
そう思って
壁にある時計を
なんども見上げた
からっぽの
時間だけが
流れていた
悲しくもなく
怒りもなく
心は空っぽ

授業はもう
はじまってる
30分以上
長い時は
1時間とか
無言が続く
沈黙のなか先生は
わたしの
回答を待った
きっと
気持ちを
聞き出したくて
辛抱づよく
待ってくれたんだろう
あきらめたように
ため息をつき
悲しそうな先生
あんな顔をさせてしまって
本当に申し訳なかった

人は
自分の気持ちを
簡単に知り得ない
あの
問題行動とやらを
なぜ起こしたのか
当人に聞いても
出てこないのだから
行動を問題
として
捉えていると
人の気持ちは
決して
開かれない
12歳のわたしは
色々なことを
とてもまっすぐに
敏感に感じていた
ただでさえ
何事も繊細に
受け止めすぎた
あのときは
感じたことを
ただ表現しただけ
もしも
ソウダンシツ
じゃなくて
自然の中で
釣りをしながら
ふたりで過ごしていたら
気持ちに
つながる
言葉が
少しでも
わたしから
こぼれたかもしれない

あのときの
自分を傷つける行為は
もう二度とできない
今は自分をとても
大切に感じる
心も体も
今はとても
大切にしたい
そう想う


