白い花の約束
- 3月8日
- 読了時間: 2分
更新日:4月17日
【 創造の源 】
わたしの祖母は
青森県 野辺地の
静かな集落にいた
夜になると
空一面の星
視界いっぱいに
光が降っていた
祖母は
キセルを吸いながら
小さなわたしを
よくそばに
呼んで言った

親の言うことを
きちんと聞くんだよ
たくさん
勉強するんだよ
わたしは
祖母の声が好きだった
祖母の存在が
好きだった
だから
当時は何を
言っているのか
よく理解できなくても
うん、うん、と
頷きながら
幼いわたしは
祖母のそばで
耳を傾けて続けた

祖母は
キセルを壺にしまい
ティッシュを一枚
手に取る
そして
小さな花びらを
いくつも作ると
あっという間に
紙の花を
生んだ

それは
ティッシュで作られた
小さくて
繊細な
でもどこか凛々しい花だった
幼いわたしには
それが
魔法のように
見えた
わたしは
その花を
壊さないよう
大切に
持ち帰った
大人になって
祖母と
最後に会ったとき
祖母の口から
戦争の話を聞いた
祖母が見た戦争は
30代のわたしには
衝撃的で
凄惨なものだった
人の一番醜い姿を
見たのだと思う
戦争は
人を変える
争いは
必要ない
そう感じた

戦争をしない選択
争いがなくなる
世界のために
祖母と約束した

「教えてくれた
紙の花を
作り続けて
伝えていく。」
それから
ずっと
祈りを込めて
紙の花を
つくっている
そういう理由で
紙の花は
生まれている
祖母が作っていた花は
白い花だった
飾りもなく
ただ静かに咲く
小さくて
繊細で
でも
凛々しい花
祖母は
わたしの中で
創造とともに
今も存在している


